病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

絶対に欠品してはいけない医薬品,その理由.②セファゾリンナトリウム注射用

病院で治療する医薬品の中でも,欠品や出荷調整などで,薬剤の供給が滞ることが許されない医薬品があります.

まさか,と思うような供給停止,出荷調整が続きます.

 

今回はセファゾリンです.

 

https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/54100/information/o-cefazoli_i-20190228cI1.pdf  

 

最近医薬品の出荷調整,本当に多いです.今年度だけでも,

マキシピーム,スルバシリン,サクシゾン,アネメトロ,エピペン,ゼルフィルム,トレアキシン25mg,ウログラフィン…

他にもあったでしょうか.

  

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不足

 

 

 

セファゾリン(CEZ)の特徴

サンフォード治療ガイドでは,セファゾリン  (2018/8/7 更新)として下記の記載があります

 

・第1世代のセファロスポリン系注射剤で,感受性のあるMSSAなどのグラム陽性球菌(MRSAまたはEntercoccusは除く),E. coli,P. mirabilisおよびKlebsiella属による感染症の治療に広く使用されている.

・Type A βラクタマーゼを過剰産生するMSSAの菌血症に対し,Cefazolin治療が失敗することはほとんどない

・主要な使用方法は外科的予防投与である.

 

・半減期2時間

 

 

Up to dateでは,オフラベル使用も含め,

 

カテーテル感染,胆嚢炎軽度から中等度,心内膜炎,風空内感染軽度から中程度(メトロニダゾールと併用),骨髄炎,腹膜炎(腹膜透析時),人工関節感染,皮膚軟部組織感染,尿路感染などに広く用いられている.

 

大部分の大腸菌,Proteus mirabilis,Klebsiella pneumoniaeに有用.

 

 

中枢神経系の感染症でなければ,メチシリン感受性ブドウ球菌(MSSA)の治療の第一選択薬として位置づけられています.

 

そして,周術期の予防投与としても広く使われており,術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン - 日本化学療法学会 でも,広く予防投与の第一選択として用いられています.

 

http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jyutsugo_shiyou_jissen.pdf

 

WHOでも,必須の医薬品,

Essential medicines and health products として挙げられています.

WHO | WHO Model Lists of Essential Medicines

無くてはならない医薬品,という事になります.

そして下記の通り,日本国内では欧米に比べて使えない医薬品があるため,必須の医薬品の一つとされています.

 

代替薬は・・・

 

あればこんなことを書かないんですけどね…

 

上記のように,MSSAの菌血症においては,国内では第一選択薬のため,その治療を何で行うかが問題となります.

これしかないような気がします.

 

Up to dateでは,

・MSSA菌血症の治療は一般的に,ナフシリン,オキサシリン,フルクロキサシリンで治療,ペニシリン感受性があればペニシリン,ただし大部分はペニシリン耐性

・セファゾリンは前述の薬剤に過敏症を有する患者に代替が可能

・バンコマイシンはβラクタム薬が使えない場合に用い,MSSAの一次選択として用いるべきではない

 

 

残念ながら,日本では,MSSA用のペニシリンが使えないため,セファゾリンを代用しています.ですので,このセファゾリンが使えないとなると… ほかにありません.

 

セファゾリンの代替薬についての情報  

2019/04/24追記

平成 31 年 3 月 29 日 事務連絡で代替案が出ています.

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000498133.pdf

 

供給不足等によりセファゾリンを使用できない場合の代替薬リスト
がでておりますが,ここで示されている代替案はとても分かりやすいのですが
残念ながらこの代替薬は,ほぼ規制がかかってしまっていて,使用できない状況でした.

4/23に,IDATEN世話人会からのセファゾリン代替え案(2019/04/23)
がでております.

IDATEN 日本感染症教育研究会 | NEWS: IDATEN世話人会からのセファゾリン代替え案

 

こちらは2019/4/2付で日本感染症教育研究会(IDATEN)世話人会 からとして出ているもので,上記厚生労働省の資料と内容も同様ですが,

セファゾリンを使用すべき状況でのQ&Aが具体的に例示されています.

どのような疾患でセファゾリンを優先すべきか,どのような疾患でセファゾリン以外で代替できるか,そしてセファゾリンがSSI予防に重要な薬剤であることを踏まえ,

その代替案の薬剤と共に,注意点(腎機能による調節以外にもスルバクタム/アンピシリンの状況や,クリンダマイシン,バンコマイシンなどの投与の際の点滴時間の注意点など)も記載があり,より実践的な内容です.

 

代替案を示す場合には,ぜひこの情報もあわせて提供すべきような資料となっています.

感染症の専門医の先生方の,現場ですぐ使えるような,という熱意が感じられる資料です.

 

ぜひ確認しておきましょう.

 

 

セフェム系薬剤の世代

 

セファゾリンは第一世代セフェム薬です.

抗菌薬の中でも,セフェム系抗菌薬が発売された時期などから,世代が分かれています.世代が後のものの方が,一般的に微生物のスペクトル(その抗菌薬が抑えることのできる微生物の種類)が広くなる傾向ですが,

微生物に対する抗菌力の強さというのは少し別の話になります.

 

セファゾリンは,メチシリン感受性のブドウ球菌に対して,最も適切であり効果がある抗菌薬とされています.

 

第2世代以降の他のセフェムを代用?

セフェム系抗菌薬は第4世代まであります.それを使えばよいのでは…という事を考えますが,

またまた Up to dateより,

 

・第2世代のセファロスポリンは,第1世代と比べてブドウ球菌に対してやや活性が低い

・第2世代のセファロスポリンは,対照的にある種のグラム陰性桿菌に対して活性を有する

 

・第3世代のセファロスポリンは,第1世代に比べてグラム陽性菌に対して活性がほとんどない(MSSAには弱い)

・第3世代のセファロスポリンは,現在のところ,手術での予防には推奨されていない

 

 

ちなみに第4世代セファロスポリンもありますが,セフェピム,セフォゾプランの両薬剤は現在,セフェピム先発品の出荷停止により,後発品のみのため供給は不十分,そしてそのあおりで,セフォゾプランも使えない状況です.当施設では原則使えません...

 

 

おちついて情報を整理しよう.どうするのか?

 

日医工のお話ですと,シェアは6-7割に及ぶとの事です.それが供給停止って… 今日医工以外の薬剤を使っていても,これは影響するのは必須かと思います.

 

落ち着いて整理してみましょう.

 

第一世代セフェムセファゾリンは,主に手術時の予防抗菌薬として当施設でも汎用されています.MSSAの治療にも用いられています.

それが供給不能となった時点で,手術時の予防を他の薬剤で担わなくてはいけなくなる,そしてMSSAの血流感染も同様です.

 

SSIガイドラインでも,セファゾリンはそのスペクトルの広すぎない,かつその強さ,そして値段の安さも含め,清潔な手術部位の予防などにおいても第一選択とされ,なくてはならない薬剤です.

これだけでもこの薬剤の必要性重要性がご理解いただけると思います.

 

今回はこの薬剤が供給不安定となってしまいました.

抗菌薬は様々な種類があるので,見た目的にも代替はありそうと感じてしまいます.

 

上述のように,米国ではブドウ球菌用のペニシリンというのが発売されています.

国内では同じものがないために(これは必要性があり,様々なところで話題には上がっていますが,この薬剤の承認が得られても,薬剤の金額としてはそれほど高くないと予測されるため,日本国内では現在発売されておらず使えない状況です)

国内では使えず,セファゾリンを用いています.

 

手術時の予防抗菌薬投与は,可能であれば,なるべくスペクトルは狭く,

手術時に感染を起こすと難渋する微生物のみの増殖を抑えれば,感染の予防ができます.

手術によって,どのような菌が手術後に感染症を起こすか,ガイドライン等でも過去の調査等からターゲットとなる微生物がある程度推測できます.

 

その中でブドウ球菌など,手術時などに感染症を引き起こしる場合にセファゾリンは最も有用な薬剤であるといえます.

 

すなわちこれが使えなくなると手術の予防抗菌薬は代替をしない限りは,手術の件数等にも影響が出てしまうと言う意味で,非常に大きな影響となります.

 

そうはいっても,セファゾリンを大切に使う,病院として,地域として使い過ぎないような方法を考えることが最も大切かと思います.MSSAの感染症と手術時の予防で考えてみることにしました.

 

MSSA感染症

こちらは,上記の通り,ペニシリンに感受性がなければアンピシリンなども使えません.

代替としてJAID/JSC感染症治療ガイドにもありますが,使用できるセファゾリンを極力この感染症に使用できるように配慮することとしました.

アンピシリン/スルバクタムは可能なのか(残念ながら当施設では供給停止中),なければ効果が劣ることを分かっていながらバンコマイシンを投与することになってしまいます.

ASTとも相談して,ここになるべくセファゾリンを集めたい対応となりました.

  

手術の予防投与の観点から

今回の大きな注目点はここです.ガイドラインでもセファゾリンの記載は多数あり,当施設でも月当たり2000本は使用されているセファゾリンを,どのように代替するのかは,まだ本格的に決めきれていません.

 

できる事から始めてみます.

 

まず,心臓外科を除くほとんどの手術は,予防抗菌薬は単回もしくは48時間までとされています.もう一度多々ある手術時の,予防投与の抗菌薬の投与期間を,見直す作業を開始します.あまり悠長なことは行っていられないので,この際よほどのことがなければ(あったとしても)投与日数の制限は必要になってきます.

 

ただ,これは指定の適切な予防抗菌薬(セファゾリン)を用いた場合,というのが前提なのですが.

 

代替薬として第2世代のセファロスポリン(セフォチアム)と,系統は変わりますが,クリンダマイシンを手術の術式などで,医師に選択してもらえるように医師と打ち合わせを行います.

 

代用品が決まればすむ問題なのか

病院では,処方は電子カルテシステムでオーダーされますが,手術時などはセット処方,パスなどが決まっているため,その変更にも時間を要します.

 

そして何より,どの程度をMSSA菌血症も含めた,セファゾリンとして使える数として確保しておくのか,そして代替品は十分に供給できるのか,など問題はまだまだあります.

 

使用量が多い医薬品は,影響がとても大きいです.

 

今回の供給の問題はなぜ起こったのか?

今回の問題は,バルクを2つ準備していたのにもかかわらず,それがうまくリスク回避をできていなかった点が指摘されています.

原薬となる製品に必要な材料の供給が不安定となったこと,また製品となった後の不純物などの問題もあったようです.

しかしながら,こういった問題は,突然起こったわけではないでしょう.

少なくともその予兆はあったでしょうし,初期の段階で対応せず,出荷ができなくなるタイミングまで,対策をとらなかったのではないか,とも感じてしまいます.

通常はある程度の在庫を持っているでしょうし,その在庫がなくなるまでのうちに対応ができない,というのは,医薬品製造業者としての認識が甘かったと言わざるを得ないでしょう.

 

上記のように,抗菌薬は単価が抗がん剤などと比べて低く,売り上げという点では小さくなるため,もしかしたらそのような認識が少なかったのかもしれません.

 

しかし,代替品がない薬品,そして国内のシェアがある程度ある医薬品は,その医薬品が供給停止となった影響を常に考慮すべきなのではないかと,いまさらながら,私は考えています.施設内の薬剤選択に,今後にも影響しそうです.

 

セファゾリンはグラム陽性球菌,メチシリン感受性のブドウ球菌感染症において,国内における第一選択として推奨されています.

これらの薬剤の供給に問題であれば,適切な予防投与が行われず,手術位感染が予防できなくなるという事に陥る可能性もあります

 

手術によって治癒ができる疾患をお持ちの患者さん,その方たちに,手術の後の感染症といった問題も引き起こしてしまう可能性もあります.

 

国内の手術部位感染は,欧米に比べて低いことも報告されています.

日本の外科医師の素晴らしさを物語っていると思います.

そして手術部位感染を予防できる抗菌薬,それはとても大切です.ブドウ球菌感染症に最も優れた薬にもなっています.

 

この薬剤は,古くからありますが,多くの方をこれからも救ってくれる,貴重な医薬品です.何としても欠品を避けたい医薬品の一つであることは確かです.

今後の状況を見守っていきたいと思います.

 

2019/03/12追記

これは個々の施設で対応できる限界を超えているのではないのか・・・

今回の出荷調整となったメーカーは,国内の6-7割のシェアを持つとされています.

そのため,別メーカーは新規の受け入れを行わず,既存の病院には欠品とならないような対応を行っています.

これは,当たり前のことかもしれません.

しかしながら,欠品となってしまった施設は,日常業務に影響が確実に出るほどの対応を余儀なくされています.

そして,これはまだまだしばらく続くことになってしまうでしょう.

 

いくつかの施設に確認してみましたが,

「当施設は別メーカーを使用していたので問題ない」という意見や,

「なくなって困っている.代替品も規制がかかっている」

という大きく2つに分かれてしまっています.

おそらく本ブログを見に来てくれているかたは,後者の施設の方が多いでしょう.

 

単純に考えて,6-7割のシャアを持っているところの医薬品が供給停止,となっているということは,日本の6-7割の施設が同様の状況に陥っているという事でしょう.

 

このまま供給停止が解決されなければ,今後さらに国内の医療への影響が出てくるものと考えています.

 

決して簡単な問題ではないとは思うのですが

東日本震災の際に,レボチロキシンは工場の被災から,早急な輸入の対応がなされました.

ニュース|サンド株式会社

 

この時に仕事をされていた方は,思い出されたかもしれません.

 

ここまでの状況とはなっていないかもしれないのですが,

今後の事を考えると,このままの状況,

セファゾリンを使うべきところで使えない,

という状況は,国内の治療に深刻な影を落としています.

 

国としての対応,AMRセンターでの対応なども期待してしまいます.

これ以上大きな問題にならないような対応を,ぜひお願いしたいと思います.

 

 2019/04/01追記

感染症学会から対応が出ています.

 

セファゾリンナトリウム注射用製剤の供給に支障が出る可能性についての学会対応|お知らせ|日本感染症学会

 

下記が掲載されています.

 

  1. 代替薬に関しては感染症関連学会が発行しているガイドライン等を参考に選択していただく。
  2. AMR対策の視点からも過度に広域スペクトルの薬剤が使用されないように注意する。
  3. 行政側等から新たな情報が発信された場合には速やかに会員の皆様に周知する。

 

いずれも根本的な解決とは至りませんが,今できる事を行う.そのためのヒントがあります.

 

行政側からの新たな情報の発信を待ちたいところです.もはや施設ごとの対応は限界にきているかと思います.

2019/4/22追記

遅くなりましたが,上記の通り,厚生労働省の事務連絡で代替案があります.

しかしながら・・・どれも代替として手に入らなくなっています.それだけこの影響は大きいです. 

 

そしてニプロ製品の話も.早急な流通の回復を願っています.

 

 

www.riquartette.tokyo

 

化学療法学会総会で緊急シンポジウム開催決定


2019年5月の第67回日本化学療法学会総会で,緊急シンポジウムが企画されたようです.

日程表・プログラム:第67回日本化学療法学会総会

「セファゾリンの供給停止に伴う諸問題」


これだけでいいから,聞きたいです.ネット配信とかしていただけないですかね.会員限定でも.ついに化療でもこの話題が.どんなお話しになるのでしょうか.

どなたかご参加いただいた方の情報をいただこうとは思います.

 

再開は2019年中?

 2019/05/14追記

セファゾリン、年内に安定供給再開へ  日医工・島崎氏

セファゾリン、年内に安定供給再開へ 日医工・島崎氏 | 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト

秋くらいと聞いておりましたが,安定供給となると年内となるのでしょうか?

少し目途がついたようでほっとしていますが,それは幻覚です.

発覚してまだ2-3カ月程度しかたっていない状況でこの混乱,そしてこれがあと半年も続くのかと思うと,とても喜べる状況ではないです…

明るいニュースかもしれませんが.

 

供給停止の原因は何だったのだろうか?

 2019/05/14追記

知人からHpに,なぜか株主・投資家の皆さまへ の2019年3月期決算説明会プレゼンテーション資料に,
今回のセファゾリンの権が掲載されているよ,というのを
小耳にはさんだので確認してみました.


当初から原薬の不溶性異物の話は出ていましたが(3/25)
その後使用できない原薬ロットの増加のため品切れとなったことが報告されています.
過去の報告はコチラ
2019/03/04

https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/o-cefazoli_i-20190228cI1.pdf

2019/03/25

https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/o-cefazoli_01.pdf

2019/04/08

https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/o-cefazoli_02.pdf


そして今回がこちら

株主・投資家の皆さまへ - 株主・投資家の皆さまへ|日医工株式会社

 

http://nichiiko-ir.irbridge.com/ja/PressRelease/PressRelease-8187918515576561213/main/0/link/F2018_Presentaton_J.pdf


毎度のことながら,これは

医療従事者へのお知らせではなく,あくまで株主・投資家の皆さまへ の項目でのプレゼンテーション用資料のようです.

 

製薬企業ですが,営利企業とみなしてしまう,患者さんや医療従事者への説明はそのあとなのでしょうか?と勘ぐってしまうのはここら辺の情報開示の仕方でしょうか.
私がひねくれているだけですか.そうかもしれません.

 

現在では,

プレスリリース | 日医工株式会社

https://www.nichiiko.co.jp/company/press/detail/4656/814/4541_20190513_CEZ_J.pdf

として上記資料がでておりますので,株主だけの案内ではなくなっていますので,一部記事を削除いたします.


そちらの資料によりますと,

原薬の出発物質の一つであるテトラゾール酢酸が問題となっていたとの事です.

 

薬品の製造はもはやチンプンカンプンですが,下記に特許なども含めセファゾリンの
製造についての記載がありました.

セファゾリンの製造法 - 特開平10−101679 | j-tokkyo


テトラゾール酢酸はそのキーになる原料の1つのようです.
私は情けないことにあまりイメージがわきませんが,高純度のセファゾリンを簡便に製造するのに必要という事のようですので,この供給が滞って製造が止まったとの事です.

既に対応は開始しているようですが,すぐに供給再開,という事にはならないようです.

 

原薬の供給.

医薬品の製造,供給に関わる根底の部分かと思います.国内生産がよいとばかりも思いませんが,複数の場所での原薬の確保などは,今後必須となってくるかと思われます.


今回のセファゾリンの問題は,いまだ解決しておらず,大きな問題です.


そして今回これだけの影響,損失となった経験を次に生かす義務があると思います.


色々な意見を集めることができる,学会などのチカラを期待しています.

 

そして現代にあっても,抗菌薬が使えない,ということが起こっていることを私たちは認識する必要があるでしょう.

 

耐性化によって薬が使えなくなることも恐ろしいですが
供給停止がこれほどまでに大きな影響を与える,医薬品の管理がいかに大切かを,改めて知ることとなりました.

今後の情報を集めたいと思います.

 

原薬に関する情報と今後の問題などを考えてみる

2019/05/23追記

原薬,不安定なら日本で作ればいいんじゃないの?

と感じますよね.私も真っ先に感じました.

 

抗菌薬は,ペニシリンを偉大なるフレミング博士が,1928年に発見したのはご存知かと思います.本当に正規の大発見ですよね.


今までに,数多くの方が,この薬に命を救われてきました.

ペニシリンは第二次世界対戦で,多くの人たちを感染症から救ったことも
報告されています.

 

セファゾリンも含め,同様のβラクタムを持つものは,ペニシリンをイメージいただくとわかりやすいかと思いますが,カビから生合成されます.

これも常識(!?)ですよね.


セファロスポリンも生合成も同様の過程とされています.

 

製造工程には,色々と必要な条件がある,という事になります.

なんせ,カビ,です.


湿度やら温度やら,発酵も関係するため,すぐの準備が難しいのは想像に難くないでしょう.

 

夏休みの自由研究で,カビを必ず一人はやっていませんでした?結構壮大な研究に

なっている人が多かったですが,ひと夏をカビに捧げる,素敵な研究が多かった印象です.

 

少し話がずれましたが,条件が色々とありそう,ということで,その工場となると,準備するのは大変そうです.

そして一度国内から撤退してしまったら,原薬を含む製造工場を国内で確保するのは
難しい.

 

その問題になっているのが薬価です.


抗菌薬の薬価ですが

2019年5月,今回の供給制限となっている,

セファゾリンナトリウム注射用1g「日医工」の薬価は

109.00 です.

命を救うための,欠品することが許されない薬が,この薬価です.109円です.

安すぎます.

 

上記の通り,抗菌薬の製造には様々な工程が必要で,コストもかかります.

 

今回の供給不安定は,製薬会社の怠慢のような記事を書いてしまった後に
いうのも情けなく,申し訳ないのですが,あまりのパニックに,
感情的になっていました.申し訳ございません.

 

この金額で,このような薬剤を供給していただいていることに,
再度感謝する必要があります.

 

そして,それと同時に,薬価を見直さなくてはいけないところに来ています.

 

このような,基本的な医薬品を,赤字になるのが分かっているような薬価で販売するというのは,製薬企業の責務に頼ってしまっている,この国の問題もあるのでしょう.

 

薬価が上がると,困ります.

でも,その問題で,なくなってはいけない医薬品が欠品してしまうのは,
やっぱりどう考えても避けなくてはいけないのだと思います.

 

これは製薬会社,学会,そして国が今こそ団結しないと,
この先,同様のことが繰り返されると感じました.

 

起こってしまったことは致し方なく,
今,一生懸命に関連の方が動いてくれています.

 

これから起こらないようなことを,皆で考える必要があるのではないかと
強く感じました.

日本で起こっている,抗菌薬の供給制限.未だかつてこんなことはなく,現代でも

起こっています.

そしてその問題が徐々にわかってきています.

 

まだ解決していない問題ですが,私たちは,今回の事から,非常に多くの事を学んだと思います.

製薬会社の医薬品の製造に関する現状などは,今まで知る由もなかったですし,必要性も感じませんでした.

しかし,薬剤を使用するにあたっては,様々なことを考える必要があり,少しの事が破綻すると,大きな問題になりえることも学びました.

そしてセファゾリンの事も,よく学びました.

 

セファゾリンがないための代替薬を考える,パニックになるほどの状況でも,

命を救うための抗菌薬を,どのようにセーブしながら,適正に使用するのか.

 

代替品についても学んだと思います.

 

病院で働いている全ての薬剤師の方は,今回の事をきっかけに,学んだのではないでしょうか.

何も考えず,自施設が不足しなければよい,という観点のみで,過量に発注するという事は,その施設ではよいかもしれませんが,現状ではそんなことをしてしまうと,欠品する施設が増えるのは目に見えています.

そして大きな病院は,感染症専門医がいたりと,恵まれているはずなのです.

小さな病院は,本当に皆で考えないと,乗り切れないと思います.

 

ピンチをチャンスに,とはなりませんし,まだ困っていて,本当にどうにかしてほしいのは事実です.

しかし,この状況はすぐには変わりませんし,誰かの力で,すぐ変わるようなものでもありません.

皆で考える.

これしか残された方法はないでしょう.そして今後,起こらない方法をぜひ色々な方に考えていただきたいと思います.

 

厚生労働省からのアンケートきたる

2019/06/03追記 

厚生労働省健康局 結核感染症課から,自施設の状況報告のアンケートが来ております.

 

セファゾリンに係る状況について

1医療機関当たり1回あたりの回答との事で,薬剤部に依頼される施設の方が多いのではないでしょうか?

ぜひお答えになっていない施設の方は,病院内で確認し,回答しましょう.

 

途中まで見てみましたが,現状困ったことが,チェックできるようになっています.

 

ただ,現場はもう薬剤は使えなくなっています.その代替薬も大きな影響を受けています.

 

このアンケート結果を,ぜひ今後に生かしていただきたいと思います.

そしてそのために,私たちは現状を報告する義務があるとも感じています.

切迫している現状,現場ではこんなに苦労し,対応に追われていることを

しっかり報告すべきだと感じています.

 

最後にメールアドレスを入力するところがあります.

 

現状をお伝えできるチャンスかと思います.

 

これだけの薬剤が,供給制限に陥る,

巷ではセファゾリンショック,と色々な先生方から言われています.

 

上記の通り,今の抗菌薬,セファゾリン供給制限の問題は,今まで日本で

経験したことのない,抗菌薬の制限に発展してしまいました.

 

そして,こうなったしまった原因は,様々な問題があり,

私たちも見ないふり,知らなかった(もしくは知らないふりをしてきた)のも事実です.

 

2019年中の回復を,と日医工の報道でもありましたが,色々な施設での現状をしっかりご報告いただきたいと思います.

 

今後,このようなことを少しでも回避するためには,

これも医療従事者の仕事なのでしょう.

前向きにとらえ,しっかり現状を報告する,次回の対策に生かすために

いま行わなくてはいけない事かもしれません.