病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

ビソノテープの適応追加に沸く薬剤師のお話し.外用剤を見直してみよう.

ビソノテープ(経皮吸収型・β1遮断剤)に,頻脈性心房細動の効能・効果が追加,

ビソノテープ2mg製造販売承認取得,ビソノテープ4mg・8mg製剤改良とのことです.

 

医療関係者向け情報 トーアエイヨー

https://med.toaeiyo.co.jp/products/information/notice/info1901-btp.pdf

 

やったー!半分の処方とか,本態性高血圧症の適応だけとか,いろいろ困った薬であったのではないでしょうか.

現場の薬剤師の皆様,いかがでしょうか?

 

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テープ

 

 

 

当施設のビソノテープの現状

当施設では院内で月60処方,2-3処方/日ありますが,そのうちほぼ半分が2mgの処方です.すでに低用量は比較的行われているのが現状かと思われます.

 

ビソノテープ4mgを半分に切ってよいかの資料は,Hpにあったかと思いましたが,削除されているようです.2mgの発売に伴ってでしょうか.

他の先生のHpに記載があります.

 

【Q】ビソノテープは半分に切って貼付することは可能か? | CloseDi

 

ビソノテープを切って使っても良い? – くすりの勉強 -薬剤師のブログ-

 

はがれるところの注意と,保管に気をつければ,行っている施設の方が多いと思います.2mgの発売でそのようなことは減るかと思われますが,2mgも半分に切りたいというニーズは今後もありそうです.

 

ビソノテープと心不全

私が学生のころは,あまり詳細な記憶はありませんが,心不全にβブロッカーは禁忌とされていたと思います.今は脈拍管理,心不全治療にβブロッカーは必須な薬剤となっていますね.

 

心不全の領域でも報告があります.フリーでみられます.

 

・心不全患者で,フマル酸ビソプロロール(BO)経口剤をビソプロロール経皮パッチ製剤(TY)に切り替えた場合の有効性と安全性を比較,多施設共同非盲検第II相試験

・BOを含む,最適な薬物療法下で安定しているCHF患者40例(男性33例,女性7例,平均年齢66.1±10.0歳)

・変更前のLVEFは50.13±11.09%,変更後16週時点で50.87±10.79%と有意差なし

・40例のうち,TY2mg(n = 14),4mg(n = 12), 6mg(n = 3),8mg(n = 11) 比較的2mgも多い

・心血管死,心不全悪化による入院,重篤な安全性の懸念も見られず

・有用性として,テープは肉眼的に投与が確認できる(認知症などで服薬確認が難しい場合などにも有用),嚥下機能に障害がある場合,胃管の場合など経口投与が困難な場合に有用

 

やはり脈拍もそうですが,集中治療室での心不全治療などにも今後も有用そうですね.

 

Circ J. 2017 Dec 25;82(1):141-147.

Efficacy and Safety of Switching From Oral Bisoprolol to Transdermal Patch in Japanese Patients With Chronic Heart Failure. PMID: 28768917

 

ビソノテープの適応

それを考えると,ビソノテープの発売時の適応が,本態性高血圧症(軽症~中等症)だけであったのはとてもがっかりした記憶があります.高血圧治療ガイドライン - 日本高血圧学会では,βブロッカーは残念ながら第一選択とはなっていません.禁忌もあるため,降圧薬としての頻度は減ってきている中での発売だったので,なおさらその印象があった薬剤でした.

 

今回は頻脈性心房細動での投与が可能となっています.脈拍の管理,という意味ではβブロッカーは有用です.そしてテープ剤は,内服と比べて吸収が緩やかなため,急激な濃度上昇がないといったことからも,集中治療室などでの使用が今後もあるかと思います.

 

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体内動態

そして2mgの剤形発売はありがたいです.発売するのを待ちましょう.

 

適応追加の詳細な情報がまだ得られていないのですが,心臓外科手術後心房細動の心房細動の報告などもされています.4mgの投与が主ですが,テープ剤の特徴を生かした報告となっています.

 

心臓血管外科手術術後のビソノテープの使用経験,窪田 武浩,松居 喜郎,心臓,49巻1号,25-29(2017.01)

 

 

テープ・パッチなどの剤形で発売されている薬剤

ざっと調べただけですが,テープ剤の成分はこんなところかと思います.適当に見たのでまだほかにもあるかと思います.最近増えてきましたね.

 

 

1            インドメタシン

2            エストラジオール

3            エスフルルビプロフェン・ハッカ油

4            エメダスチンフマル酸塩

5            オキシブチニン塩酸塩

6            ケトプロフェン

7            ジクロフェナクナトリウム

8            ツロブテロール

9            ニトログリセリン

10          ビソプロロール

11          フェルビナク

12          フェンタニルクエン酸塩

13          ブプレノルフィン

14          フルドロキシコルチド

15          フルルビプロフェン

16          リドカイン

18          リバスチグミン

19          ロキソプロフェンナトリウム水和物

20          ロチゴチン

21          硝酸イソソルビド

 

 

今まで内服で使用されていた薬が,内服の体内動態では少し問題があった(半減期が短く,複数回の服用が必要,など)薬剤が,近年のテープ剤の技術開発により,新たに生まれ変わった薬剤も出てきています.

オキシブチニンやツロブテロールなどは,その代表例です.オキシブチニンは少し局所の刺激があるようですが,経皮製剤は今後も増えてくるでしょう.

 

 薬効も様々です.テープ剤は湿布同様,NSAIDSが多いですが,そのほかにもアレルギー性鼻炎治療剤として最近発売されたアレサガテープ(佐賀県由来!)のほか,上記の気管支拡張剤,過活動膀胱治療剤,フェンタニルもあります.

 

電気的除細動(DC細動除去等)の際に注意するもの

意外と知られていないかもしれませんが,アルミを含んでいる薬剤があります.

電気的除細動(DC細動除去等)の際に注意する薬剤として,支持体にアルミニウムが使用されているため,はがす必要があります.ニトロダームTTS,ニコチネルTTS,ニュープロパッチがあります.覚えておくとよいでしょう.

 

テープ剤の奥深さを学ぶ

そういえば,ロキソプロフェンって,プロドラッグって習いましたよね?そうすると,今さらですが,ロキソプロフェンのテープ剤って,効くの?というのを調べ忘れておりました.

そんな時に見つけた下記の論文を見つけました.

少し紹介いたします.

 

・内服した薬剤は,吸収され,肝臓の門脈を通る

・吸収される前にも,pH1.2程度の胃酸にさらされる

・それを避けるために腸溶性製剤が開発された

・小腸で吸収されるが,その際も腸内細菌や腸管粘膜にある酵素で代謝される

・吸収された薬剤は,肝臓の代謝を受ける

・その後血中にはいるため,服用した量に比べて少なくなってしまう

 

経口投与の概要です.薬学生の時勉強しましたが,今から考えると,経口の薬剤が薬効を示すためには,様々なハードルがあることが分かります.

内服薬の偉大さを今さらながらに感じますね.

 

肝臓の壁

そして,肝臓.初回通過効果.肝臓のスゴさを感じますね.自分が内服薬になったことを想像してみて下さい.できない方は結構です.

 

 

様々な困難を通り抜け,やっと血中に入り,さあ薬効を示そうとしたとき,

その前に大きく立ちはだかるのが,肝臓です.なんでも代謝されちゃいます.

大きな壁ですよね.

 

 

内服以外にも様々な投与方法がありますが,侵襲性の低さ,という意味では皮膚の貼付剤はもっともよい剤形の一つでしょう.

 

皮膚からの吸収

皮膚による薬の吸収として

・皮膚は生体の携帯の維持のほか,外的因子に対するバリアー機能がある

・薬もそのため,容易に吸収されることはない

・皮膚からの吸収には初回通過効果は受けない

・皮膚からの吸収はすぐに吸収され,血中に移行することはない

 

さすが人体です.皮膚は何気に色々なところから私たちを守ってくれています.

「今日はお肌の調子が~」という方も,お顔や手以外の皮膚も,

しっかり私たちを守ってくれているのです.

皮膚に感謝しましょう.

 

皮膚からの吸収は,ゆっくりですが確実です.もちろん皮膚の状態にも影響されます.

それゆえ,吸収の特徴,持続効果などから,経口剤にはない特徴も持ち合わせています.

 

この文献を読んで,新たに外用薬ってスゴイな,と思いました.学生の頃学んだ事を思い出しました.

 

ロキソプロフェンってプロドラッグ.効果あるの?に対する回答

そしてこの記載が.

・鎮痛薬であるロキソプロフェンナトリウムを経皮吸収後,皮膚の中にある代謝酵素により活性物質に変換し,その鎮痛効果を発揮させることができる

・皮膚に代謝酵素があることは分かっていましたが,この酵素を利用した経皮型の製剤が開発された

・開発者は完成まで血のにじむような努力をしたのかもしれない

 

最後は筆者の想像のようですが,確かに発売されてみると,プロドラッグだけど代謝されるから大丈夫,ということになりますが,改めて聞くと,やはり開発の方は素晴らしいですね.

 

海保房夫,薬にはなぜ色々な剤形があるのでしょうか?,化学と教育54 巻 12 号 654-657(2006 年)

 

外用貼付剤でも併用禁忌がある薬剤

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)は,併用禁忌が存在します.吸収がよく,よい薬剤です.しかしながら,外用剤ですが,併用禁忌があるので注意が必要です.

 

ロコアテープ2枚貼付時の全身曝露量が,フルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから,フルルビプロフェンの添付文書を参考に記載した,となっています.下記が併用禁忌の薬剤です.

エノキサシン水和物

ロメフロキサシン

ノルフロキサシン

プルリフロキサシン

 

内服と同様に妊娠後期の女性も禁忌となっています.

 

フェンタニル貼付剤の注意

色々あります.貼付部位や保管の問題などなどです.最も気をつけなくてはいけないのは,

本剤を他人へ譲渡してはならないことを指導すること

でしょうか.この痛み止めは聞くのよ~,というノリで他の方に渡すのはやめましょう.

 

 

外用貼付剤のまとめ

色々書きましたが,テープ剤を含めた外用製剤は,内服では薬効や安全性などに問題があった薬剤などでも(そうでなくても),新たな薬効,特徴付けができ,薬剤として有用です.

 

ビソノテープも,適応などから,やっと本来のβブロッカーとしての力を発揮してくれる薬剤となるでしょう.

 

取り扱いに注意が必要な薬剤もあります.ただ貼付するだけの薬剤で,安全で薬効も少なく,という薬剤ではないです.その特徴から,今後も様々な薬剤が出てくることでしょう.

 

貼付部位の皮膚の保湿などには十分注意が必要です.これはどの貼付剤も同様です.

 

 

 

 

 

以上テープ剤について少しまとめてみました.

なんとなくシップのイメージがある外用貼付剤.4剤形貼付されている方を見たことがあります.皮膚のケアをしっかりなされていました.あまりに多いと分かんなくなっちゃいそうです.

当たり前ですが,テープ剤は薬剤なので,吸収されるという事をしっかり念頭に置いて,適切な管理,使用を心掛けたいですね.